大学時代、たしか1年の時に「日本語表現法」という講座を受講しました。
大学ではレポート課題が増えるため、その書き方を実践的に学ぶ講座でした。
どんな課題があったかは覚えていませんが、毎時間提出するレポート課題になんとなく大学生らしさを感じ、好きな講座のひとつでした。
月曜日の5時間目だったと記憶しています。でも、多分違います(笑)
あるとき、課題図書として村上春樹さんの「走ることについて語るときに僕の語ること」を読む機会がありました。
当時の私に読書の習慣は一切なく、本を読むという行為は苦痛でしかありませんでした。
もちろん、本を読んだことが一切ないわけではありません。
入試が終わった中学3年の冬に読書に熱中しましたが、人から勧められた本ばかり読んでいたためか、そのときの読書熱は高校入学と同時にすっかり冷めてしまいました。
高校時代は部活が中心で、本とは無縁の生活を送っていました。
そんなわけで、大学生になったからといって急に本を読む習慣がつくわけがなく、また好きになるわけもなく、課題図書は気持ちの良いほどさーっと読み飛ばし、「走ることについて語るときに僕の語ること」を読んだ上で書くべき課題レポートもその時ばかりは友人のレポートを参考文献にし、難なく逃げ切ってしまったのです。
当時、村上春樹さんの名前を知りもしなかった私ですが、映画で「ノルウェイの森」を観たことをきっかけに、村上春樹作品に没頭していきます。
大学卒業後はすべてではないにせよ、村上春樹さんの作品をひたすら読み漁りました。
結婚して子どもが生まれてからは疎遠になりましたが、最近はまた本と向き合うようにしています。
流行りの電子書籍リーダーを購入し、以前とは違うスタイルではあるものの、活字を目で追っている時間の心地よさは相変わらず感じられます。
そして今、ポジティブな思い出がなかった課題図書「走ることについて語るときに僕の語ること」を、読み返しています。
読書に関心がなく、まったく頭に入ってこなかった文章。
村上春樹さんのことを知った今、読書の習慣がある程度身についた今。
約10年前に読めなかった本が読めていることに、少し感動しています。
探せば当時の課題レポートも出てくるかもしれません。
この本を読み終えたとき、そのレポートを読んで、なんていう拙い文章を書いているんだと笑っている自分が想像できます。
以前読んだことのある本を読み返すことで、自分の変化を感じられる。
新しい発見でした。